kushikoen’s diary

ようするに私について。

『プロメア』かんそうぶん ガロ・ティモスについて

何を感じていたかを忘れがちなので、書いて残すというヤツ。

私がどういう立場かと言うと、『グレンラガン』が好きなトリガーのライトなファン層、といったところ。

『プロメア』は先行上映会のチケットが当たったので「じゃあ観に行くかあ」みたいな心持ちでした。保身を選ぶ程度の大人なので、5秒でも面白かったら良いことにしよう…みたいな(というのも、もし今石中島が、あの興奮をくれた彼らが、クッソつまんねえだせえモノを打ち出してきてしまったら、もうアニメなんて観れなくなるんじゃないか…?という不安があったので)、相当ハードルを下げての鑑賞となりました。

 

その結果がアレです。開幕5秒で泣きました。さあさお集まりの皆々さま、今から我らの思う「気持ちの良い映像」をたっぷりお届け致しますよ、というような覚悟が冒頭から伝わってきて(少なくとも私はそれを受け取って)、『inferno』が流れ出した辺りはもう…。

ただ悲しいことに貧弱な脳の持ち主なので、Aパート終了時点で脳が解釈を放棄し始めました。ダメだ、これはもう動くコンセプトアートを2時間楽しむだけにしよう…という心で鑑賞しました。どれだけ思考を放棄したかというと、初見ではあの超ガイナ立ちを正面から受け止められず、2回目でやっと認知のストライクゾーンに入ったというボンクラっぷりです。なお死球

 

で、本題ですが。初見の感想は本当に「リオ・フォーティア…」に集約されるものでして、そこまでガロ・ティモスのことを捉えられませんでした。一先ず、カミナの兄貴じゃないな、くらいの捉え方で、ちょっとあの男については傍に置いていました。

その理由として彼が、勢いの先行するバカ、ないしは喜劇を先導するためのお飾りの主人公に見えがちだったことが挙げられます。あくまで私にとって、という話ですが。

彼の発言はかなりヒヤヒヤするところがあって、「バーニッシュはともかく」という被差別対象への線引きだったり、洞窟でのリオ・フォーティアとの会話(火をつけなければ普通にやってけるだろ、みたいなアレ)だったり、観ていて「この主人公で大丈夫なのか…?」という気持ちになってしまいました。個人的に、『グレンラガン』も『キルラキル 』も「ノリと勢いでなんとかなるカンジが良い!」と言われるのがあまり好きではなく、いやそれぞれの矜持と矜持がぶつかり合って重なり合って解を迎えてるだろ…という風に思っているのですが、ガロ・ティモスのそれが初見で明確に見出せず、それこそノリで生きている男なのか? という風に解釈してしまいました。

ですが作品に興奮したのは事実で、なるほどこれは私が『プロメア』を信頼しなかったから、彼の姿が見えなかっただけなのだろう、と思い直しました。そしてガロ・ティモスについてぼんやりと考え始めるとシンプルな答えに至りました。ガロ・ティモスは、本人が述べているように「人を救って炎を消す」が本懐の人なんですね。

ガロは作中で成長しない男です。じゃあ彼がやっていることはなにかというと、「人を救って炎を消す」という大原則に照らし合わせて、自分の行いがそれに則っているのかどうか判断し、適宜修正を加える、ということです。バーニッシュを人として捉えていなかった彼は、洞窟でのリオの言葉によって認識をあらためます。はじめはバーニッシュに負担を強いることでの調和を図ろうとした彼は、デウスエックスマキナの中で、自身の核である「人を救って炎を消す」という信念を明瞭にし、「炎を燃やす、だが人は殺さない」が信念のリオ・フォーティアにバーニッシュの誇りを貫き通せ、と進めを与えます。彼のやりたいこと、やるべきことは「人を救って炎を消す」以外の何物でもないワケです。

私ははじめこの本懐が見えていなかったのでガロ・ティモスという男を見誤りましたが、

間違えることはあっても軸がぶれることはない。これがガロ・ティモスなのですね。

 

 

 

しかしですね、そうなってくるとですね、1つの信念のもと突き進む男ってことになりますとですね、しかも「人を救う」っていう信念の男ってことになりますとですね、まあ私の愛した男の姿が、真紅のコートのトンガリ頭の男の姿とかがですね、頭をもたげてくるワケでしてね、いやしかしあの男はそれをするだけの力があって(もちろんそれ以上に矜持があるんですが)、でもガロ・ティモスは本当に普通の人で、そんなお前が、それを背中に生きていくのか? そんな、そんな…でも、そんな事きっと考えちゃいないんだろうな…という、なんてバカな、なんて愛おしい男なんだ、と…。

いや「人を救う」なんて、そうそう背負えないよ!

でもそれを平気で背負う!

それがガロ・ティモス!

私はお前を愛してしまう。

…ということで、最初はリオ・フォーティアにリビードやらトキメキやらをめちゃくちゃにされたんですが、回を追うごとにどんどんとガロ・ティモスに心をめちゃくちゃにされました、という自己紹介の文章です。